2023年8月
日本キャリア・カウンセリング学会
会長 馬場 洋介
(帝京平成大学大学院臨床心理学研究科)
このたび、会長に就任しました馬場洋介(ばば ひろすけ)と申します。よろしくお願いします。
日本キャリア・カウンセリング学会は、キャリア、カウンセリング、および、メンタルヘルス等に関わる研究と各領域の実践等から得られた知見等を発信、情報共有することで、個人の成長と組織・社会の発展に貢献してまいりました。現在、私たちを取り巻く環境は、“Chat GPT”を象徴とするAIの進展等により、日々、絶えず変化しており、キャリアやカウンセリングに対するニーズも多様化しています。このような時代背景の中で、個々人が自らのキャリアについてより深く考え、自分らしいキャリアの実現のために、より精度の高い支援が求められています。
一方で、個人を支える組織としても、個々人の多様なキャリアやメンタルヘルス等をどのように支援していくのかについての多くの課題を抱えています。本学会としては、このような個人と組織の状況を踏まえ、キャリアやカウンセリングについての新たなチャレンジを取り入れ、皆様ととも進化していきたいという想いがあります。
そして、現在、私たちを取り巻く環境がグローバルで大きな転換期を迎える中で、本学会の在り方や、キャリア・カウンセリングの在り方が、これまで以上に問われていると認識しております。
本学会は、以下の「ありたい姿」「中長期ビジョン」を掲げています。
<ありたい姿>
- キャリア・カウンセリングに関する研究者、実践者等の自由な交流と対話の場を保障する
- キャリア・カウンセリングに関する研究者、実践者等の学習と成長の機会を創造する
- キャリア・カウンセリングに関する研究と実践活動等の成果を社会へ発信する
- これらの活動を通じて幸福かつ持続可能な社会づくりに貢献する
<中長期ビジョン>
- 国・地域・年代・専門分野を超えた交流プラットフォームの実現
- より高度な研究者・実務者育成のためのキャリア・カウンセリング研究と実践の進化
- スーパービジョン、事例検討会を通じた実践力高度化の追求
- 時代が求めるキャリア・カウンセリングの研究知見の集積とその発信による社会貢献
- DXへの取り組みと持続可能な組織運営基盤の構築
上記の「ありたい姿」「中長期ビジョン」を達成するために、以下の取り組みをしていく所存です。
第一に、キャリア・カウンセリングに関する新たな知見の共有と、学会活動に関わっていただく皆様の専門性の向上のための取り組みを行っていきます。そのためには、よりクオリティが高く有益な情報共有と教育、発表の機会を創造していくことが重要になります。本学会の具体的な取り組みとしては、例えば、スーパービジョンや事例検討会に関する研修やトレーニングや、研究相談サロンのような研究に関する支援の機会等が挙げられます。そして、キャリア・カウンセリングに関する最新の研究成果や実践的な手法等を共有することや、研究者、支援者と企業人等の皆様の専門性向上に寄与したいと思っております。
第二に、組織や社会との連携を強化していきます。このたび、学会の委員会として、政策提言委員会と企業領域連携強化委員会を新設しました。本学会は、官公庁や、産業、教育、医療・福祉、地域保健、司法等の幅広い領域の組織との連携をより強化していきたいと思っております。各領域の現場のニーズや課題に対応するために、本学会としては。研修会や交流会、および、研究大会等の機会において、積極的に情報交換や協力関係を構築し、キャリア・カウンセリングの重要性を広く認知してもらうことを目指していきます。また、社会の変化に合わせた新たなチャレンジやプロジェクトを推進するための連携も必要です。私たちの活動が、個々人の成長だけでなく、産業や地域全体の発展や社会全体の幸福と成長に貢献していく所存です。
第三に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して、学会の活動に関わっていただく皆様の利便性を図っていきます。“Chat GPT”を象徴とするAI等のテクノロジーは、キャリア・カウンセリングの領域にも大きな影響を与えてくことが想定されます。本学会は、DXを積極的に取り入れ、皆様により効果的なツールやプラットフォームを提供していきたいと思っております。そのために、本学会では、業務効率化プロジェクトを立ち上げ、学会全体の業務の見直しを図り、学会活動に関わっている皆様の利便性向上を実現しながら、効率的な学会運営を目指していきたいと思っております。
以上の取り組みを通じて、学生の皆様からシニア層の皆様までの幅広い年代や、幅広い領域の研究者、実践者等の皆様に、本学会の活動に加わっていただき、研究者、支援者と企業人の新たな出会いを創造しながら、本学会の「ありたい姿」「中長期ビジョン」を実現したいと思っております。そして、本学会の継続的な活動を次世代へとバトンタッチしていきたいと思っております。これらの目標を達成するために、皆様と共に、より一層成長と発展を遂げる日本キャリア・カウンセリング学会を築いてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。